こんばんは、
パイル二等兵です
今回ご紹介致しますのは、謎多き
ファーストエイドキット(救急箱)です
※アウトドアとはほとんど関係の無い内容ですので、興味のある方のみご覧下さい
謎のファーストエイドキット
え~個別の内容物をご紹介する前に、
米軍用医療品の年代特定について少し説明を・・・
米軍モノを収集した事のある方なら誰しもご存知の
コントラクトナンバー。
軍と製造会社との契約番号のようなもので、
この中に
製造年(正確には会計年度)が記載されています。
これは今更私が詳しく解説する必要はないので省略させて頂きますね
気になる方は「
コントラクトナンバー」で検索すると、
解説&解読されているサイトが見つかりますので参考にされて下さい。
・・・で、このコントラクトナンバーとは別に
ストックナンバーと言う装備品の管理等に使う番号があります。
これも米軍モノを収集した事のある方ならご存知の方も多いと思われますが、
ストックナンバーの表記の違いにより大まかな年代特定が出来ます。
ストックナンバーでよく知られているのは、
FSN(Federal Stock Number )と
NSN(National Stock Number )の2種類。
FSNは
1949年~1974年に使用された管理番号で、
11桁。
NSNは
1975年以降使用されている管理番号で、
13桁。
つまりFNSかNSNかの違いにより
1975年より前か後かが判断出来ます。
ここからは、あまり知られていない(
と言うより私が最近知っただけ?)のですが、
FSN以前にも管理番号が存在し、その表記の違いによっても大まかな年代特定が出来るのです。
以下に番号表記の違いによる年代を記載致します
No.
12345・・・・・
5桁は
1943年3月以前
No.
1234567・・・・・
7桁は
1943年3~7月
No.
1-234-567・・・・・
ハイフン付き7桁は
1943年7月~1950年
No.
1234-567-8900・・・・・
11桁は
1950年以降
No.
1-2345・・・・・
ハイフン付き5桁は
米海軍独自(使用時期不明)
ちなみにこれは
医療品にのみ当てはまります。
(
11桁に変更になったのも1949年ではなく、
1950年のようです)
もしかすると消耗が激しく、入れ替わりの多い医療品のみ、
FNS確立以前に管理番号が割り振られていたのかも知れません。
※詳しく御存知の方、間違いに気付いた方は御一報を!!
少し説明が長くなりましたが、
これらの事を踏まえて個別の内容物をご紹介したいと思います
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管状包帯
制式名:BANDAGE, GAUZE, TUBULAR WHITE
製造国:アメリカ合衆国(SCHOLL MFG. CO., INC. 製)
製造年:1943年7月~1950年頃(STOCK No. 2-007-007)
サイズ:9.1×9.1×2.5cm
カラー:白(中身)
材質:コットン
パッケージの情報を和訳すると、
「
5/8インチ×5ヤードの白色管状ガーゼ包帯(未殺菌)」ですかね?
恐らく筒状の白い包帯なのでしょうが、一体何に使うのやら・・・?
ストックナンバーが
ハイフン付き7桁なので、
1943年7月~1950年のモノと判断できます。
裏に用法っぽい文章があるので、和訳すればもう少し情報が得られるでしょう・・・
しかし私にその能力が無いので今回はパスしときます
【2012年6月24日・追記】
指を負傷した際に使う包帯の様です。 (情報提供:
ハイエナ殿)
三角巾
制式名:40 IN. TRIANGULAR BANDAGE
製造国:アメリカ合衆国(MINE SAFETY APPLIAINCES COMPANY 製)
製造年:1950年代?
サイズ:10×5.5×1.8cm
カラー:不明
材質:コットン
パッケージの情報を和訳すると、「
40インチ三角包帯(包装後殺菌済)」ですかね?
モデルの人物が役人風なので
政府機関用に製造されたモノかもしれません。
1950年代の
軍用三角巾と非常に似ていることから、その頃の品と推測致します。
外箱の中には紙に包まれた
三角巾(未開封)とそれを留める為の
安全ピンが2本入っています。
三角巾はイラストにある通りの形状をしていると思われますが、色は不明です・・・
それにしても「
Cat. No. 」って何なのでしょうね?
以前から気になっているのですが、未だに判明しておりません
包帯
制式名:GAUZE BANDAGE
製造国:アメリカ合衆国(ACME COTTON PRODUCTS CO. INC. 製)
製造年:不明
サイズ:5.7×3.5×3.3cm
カラー:迷彩色(カーキ? OD?)
材質:コットン
パッケージの情報を和訳すると、
「
2インチ×6ヤードの迷彩色ガーゼ包帯(殺菌済)」ですかね?
恐らくカーキもしくはODに染められた包帯でしょう。
迷彩色であることから、軍用品に間違いはないでしょうが、
コントラクト・ストックナンバー共に記載されていませんので年代並びに詳細不明です
無地の圧縮ガーゼ
制式名:Gauze, Plain, Compressed, 36Inches by 1 Yard Sterilized
製造国:アメリカ合衆国(Lily White Sales Co., Inc. 製)
製造年:1943年7月~1950年頃(STOCK No. 2-024-000)
サイズ:10×5.5×2cm
カラー:無地(白?)
材質:コットン
パッケージの情報を和訳すると、
「
36インチ×1ヤードの無地の圧縮ガーゼ(殺菌済)」ですかね?
恐らく白い圧縮包帯でしょう。
ストックナンバーが
ハイフン付き7桁なので、
1943年7月~1950年のモノと判断できます。
紙
紙製ケース(14.2×8.6cm)の中に、
無漂白の紙が大量に入っています。
何も書かれていないので、何も分かりません
油取り紙・・・なワケないですね
脱脂綿
制式名:absorbent cotton
製造国:アメリカ合衆国(ACME/CHASTONE 製)
製造年:不明
サイズ:9×4.5×3.5cm
カラー:不明(白?)
材質:コットン
パッケージの情報を和訳すると、「
米国薬局方に基いた殺菌済脱脂綿」ですかね?
恐らく普通の脱脂綿でしょう。
「
U.S.P.」とは「
United States Pharmacopeia(米国薬局方)」のこと。
「
薬局方」とは医薬品に関する品質規格書のこと。
ん~どう見ても
民間の医療品、しかも比較的新しい気がします
画像には写っていませんが、小さく「脱脂綿」と日本語の書き込みが・・・
前オーナーが書いたんですかね?
兎にも角にも元々入っていたのではなく、後入れの臭いがプンプンします
マニュアル
「
応急処置の要点」と書かれたマニュアルの紙です。
以下に書かれている項目を記載致します
・
ARTIFICIAL RESPIRATION 「
人口呼吸」
・
CHOKING 「
窒息」
・
POISONING 「
中毒」
・
OPEN WOUNDS 「
開いた傷」
・
BLEEDING 「
出血」
・
SHOCK 「
ショック」
・
BURNS AND SCALDS 「
火による火傷と熱湯による火傷」
・
FRACTURES AND DISLOCATIONS 「
骨折と脱臼」
・
HEAT STROKE 「
熱中症」
・
FAINTING 「
失神」
和訳が間違っていたら、指摘して下さい
それでは今回はこのへんで・・・続きはまた次回
参考までに過去のファーストエイド関連記事です
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「衛生兵~!衛生兵~!」・・・ジャングルファーストエイド、LC-1・LC-2ファーストエイドの紹介
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車載用救急箱(1950年代)・前編・・・50年代の車載ファーストエイドの紹介(前編)
●
車載用救急箱(1950年代)・後編・・・50年代の車載ファーストエイドの紹介(後編)
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搭乗員用救急箱・・・航空機搭乗員用ファーストエイドの紹介