飛行士のファーストエイド・前編
こんにちは、
パイル二等兵です
今回から
3回連続で、
飛行士のファーストエイド(救急医療品)のご紹介を致します
まず初めに予備知識として、
飛行機操縦士(飛行士)の
英語表記について・・・
皆さんすぐに思いつくのが「
パイロット(pilot)」ではないでしょうか?
その他に米軍モノを集めていて良く耳にするのが、
「
エアクルー(aircrew)」と「
アビエイター(aviator)」の二つです。
簡単に(私の個人的考えを含め)分類しますと・・・
パイロット(pilot)
「
操縦士」を意味する単語。飛行機に限らず宇宙船、飛行船、ヘリの操縦を担う人物にも使用。
米空軍(と陸軍もかな?)の飛行機操縦士は「pilot」を使用。
ちなみに「
水先案内人」も英語では「pilot」。
エアクルー(aircrew)
「
航空機乗組員」全般を意味する単語。爆撃機B-29で言うと、10名の乗組員全員が「aircrew」。
おそらく米軍4軍で使用されている。
使い勝手が良い単語なので、米軍モノでは「エアクルー用」と言う言葉が良く使用されている。
アビエイター(aviator) ※「アビエーター」との表記あり
「
飛行機操縦士(飛行士)」を意味する単語。
米海軍(と海兵隊もかな?)の飛行機操縦士は「aviator」を使用。
海軍では艦船の運用があり、水先案内人「pilot」との混同を避ける為
「aviator」を使用していると思われる。
海軍でもヘリの操縦士は「pilot」を使用・・・しているのかな?
今回からご紹介する
ファーストエイド(以下:
FA)は
一般的に「
エアクルー用」と呼ばれていますが、
ポーチ自体に「
AVIATOR」の表記がありますので、
当ブログでは「
アビエイター用」と呼ばせて頂きます。
前置きが少し長くなってしまいましたが、、
第1回は『
FAポーチ』・・・つまり
入れ物だけをご紹介致します
アビエイター用FAポーチ・最初期型
制式名:AVIATOR'S KIT INDIVIDUAL
製造国:アメリカ合衆国(Conray Products Co. 製)
製造年:不明
サイズ:11.8×7.7×5cm
カラー:OD(オリーブドラブ)
材質:コットン
第二次世界大戦(以下:
WWⅡ)時の
海軍アビエイター用FAポーチです。
一般的には
WWⅡモノと言う認識が強いですが、色が
ODなので
WWⅡ末期の品、
もしくは
朝鮮戦争時の品かもしれません。
確証はありませんが
朝鮮戦争~ベトナム戦争初期まで使用されたと言う記述もあります。
使用方法は基本的には
サバイバルベスト(もしくは
フライトスーツ?)に取り付けるようですが、
機内の緊急脱出用ゴムボート
PK-1にも備え付けてあったそうです。
後述する
初期型・後期型に比べ、
一回り小さい作りとなっています。
ポーチ表面には
白地の無い赤十字と
U.S.NAVY、
そして
ストックナンバー(S2-1063)がプリントされています。
ポーチ裏面には製造タグが付いており、
Conray Products Co.製と分かります。
Conray Products Co.は
WWⅡ時に医療品を納入していた業者の一つです。
個人的には
赤十字マークが渋くて、非常に気に入っております
コチラはポーチ内部と裏面です。
開閉はポーチ底部に着いた
ドットボタンで行います。
フラップ裏面が二重構造で、紙類などが入りそうな
ポケットになっています。
また、底には
合板製らしき板が入っています。
サバイバルベストへの取り付けは背面の
ベルトループで行うのですが非常に幅が狭く、
ピストルベルトへの取り付けは不可能です。
つまりこのポーチは完全に
サバイバルベスト専用であり、
野戦装備への流用は考えられていないようです。
(現在の
サバイバルベストに
縫い付けるポーチ的な存在でしょうか?)
このポーチを「最初期型」としておりますが、後述するポーチとの関連性は確証がありません。
個人的な分類ですので、参考程度にとらえて下さい。
一般的には「(海軍)アビエイター用FAポーチ」で通用すると思います。
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アビエイター用FAポーチ・初期型
制式名:FIRST AID KIT, AVIATOR, CAMOUFLAGED
製造国:アメリカ合衆国(KEITH & KEITH INC 製)
製造年:1966年頃(DSA-120-4228)
サイズ:12×12×8cm
カラー:OD
材質:コットン
ベトナム戦争初期の
アビエイター用FAポーチです。
海軍(NAVY or USN)との表記はありませんが
「
AVIATOR」とありますので
海軍系アイテムの可能性があります。
運用方法は不明ですが、やはり
サバイバルベストへの取り付けていたのでしょうか?
ポーチ表面には
米軍医療マーク(
カドゥケウス)、
ストックナンバー(FSN)、
そして
制式名がプリントされています。
カドゥケウスが細長いと言うのが
初期型の特徴です。
ポーチ裏面には製造会社(
KEITH & KEITH INC)と
コントラクトナンバーがプリントされています。
(
KEITH & KEITH INCについては詳細不明・・・)
コチラはポーチ内部と裏面です。
開閉はポーチ底部に着いた
ドットボタンで行います。
開閉口には
最初期型にはない
サイドのプラップが付いています。
逆にフラップ裏面の
ポケットと底の
合板製らしき板がなくなっています。
底の板がないので、
ドットボタンンを留める際、少し不便に感じます。
背面の
ベルトループは一見
最初期型と同じに見えますが、
最初期型が
横方向にしかベルトを通せないのに対し、
初期型は
縦横二方向にベルトを通せるようになっています。
スライドキーパーを取り付けて、ちょっと強引に
野戦装備に流用することも可能かもしれません。
WWⅡと違いベトナム戦争ではヘリの運用が多く、
ヘリパイロットも使用していた可能性が高いので、
「アビエイター用」と言うよりは「エアクルー用」と呼んだ方が良いかもしれません。
一般的には「エアクルー用FAポーチ・初期型」で通用します。
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アビエイター用FAポーチ・後期型
制式名:FIRST AID KIT AVIATOR, CAMOUFLAGED
製造国:アメリカ合衆国(KEITH & KEITH INC 製)
製造年:1967年頃(DSA 120-67-C-2976)
サイズ:12×12×7cm
カラー:OD
材質:コットン
ベトナム戦争中期の
アビエイター用FAポーチです。
基本的な情報は上記の
初期型と同じです。
表面のプリントの違いは
カドゥケウスの形くらいでしょうか?
ストックナンバー(FSN)が
初期型・後期型ともに「
6545-965-2394」と同じ数字なので、
米軍的には
同じアイテムと言う認識なのだと思います。
このポーチとは別の製造会社でストックナンバー違いのタイプが存在します。
そいつが一体何者なのか、今現在不明です。
コチラはポーチ内部と裏面です。
基本的な情報は上記の
初期型と同じです。
初期型との違いは背面の
ベルトループです。
べロクロ(マジックテープ)式で、
縦方向にしかベルトを通せないようになっています。
M1967装備や
LC-1装備の
FAポーチの背面にも
同じようなべロクロのベルトループが付いているので、個人的意見ですが、
M1967装備以降、
エアクルー用FAポーチを兼ねている可能性がありますね。
一般的には「エアクルー用FAポーチ・後期型」で通用します。
次回からは
ファーストエイドの内容物をご紹介致します
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