飛行士のファーストエイド・前編

パイル二等兵

2013年06月02日 14:38

こんにちは、パイル二等兵です

今回から3回連続で、飛行士のファーストエイド(救急医療品)のご紹介を致します



まず初めに予備知識として、飛行機操縦士(飛行士)英語表記について・・・

皆さんすぐに思いつくのが「パイロット(pilot)」ではないでしょうか?
その他に米軍モノを集めていて良く耳にするのが、
エアクルー(aircrew)」と「アビエイター(aviator)」の二つです。

簡単に(私の個人的考えを含め)分類しますと・・・

パイロット(pilot)
操縦士」を意味する単語。飛行機に限らず宇宙船、飛行船、ヘリの操縦を担う人物にも使用。
米空軍(と陸軍もかな?)の飛行機操縦士は「pilot」を使用。
ちなみに「水先案内人」も英語では「pilot」。

エアクルー(aircrew)
航空機乗組員」全般を意味する単語。爆撃機B-29で言うと、10名の乗組員全員が「aircrew」。
おそらく米軍4軍で使用されている。
使い勝手が良い単語なので、米軍モノでは「エアクルー用」と言う言葉が良く使用されている。

アビエイター(aviator) ※「アビエーター」との表記あり
飛行機操縦士(飛行士)」を意味する単語。
米海軍(と海兵隊もかな?)の飛行機操縦士は「aviator」を使用。
海軍では艦船の運用があり、水先案内人「pilot」との混同を避ける為
「aviator」を使用していると思われる。
海軍でもヘリの操縦士は「pilot」を使用・・・しているのかな?

今回からご紹介するファーストエイド(以下:FA)は
一般的に「エアクルー用」と呼ばれていますが、
ポーチ自体に「AVIATOR」の表記がありますので、
当ブログでは「アビエイター用」と呼ばせて頂きます。


前置きが少し長くなってしまいましたが、、
第1回は『FAポーチ』・・・つまり入れ物だけをご紹介致します


アビエイター用FAポーチ・最初期型

     制式名:AVIATOR'S KIT INDIVIDUAL
     製造国:アメリカ合衆国(Conray Products Co. 製)
     製造年:不明
     サイズ:11.8×7.7×5cm
     カラー:OD(オリーブドラブ)
     材質:コットン

第二次世界大戦(以下:WWⅡ)時の海軍アビエイター用FAポーチです。

一般的にはWWⅡモノと言う認識が強いですが、色がODなのでWWⅡ末期の品、
もしくは朝鮮戦争時の品かもしれません。
確証はありませんが朝鮮戦争~ベトナム戦争初期まで使用されたと言う記述もあります。

使用方法は基本的にはサバイバルベスト(もしくはフライトスーツ?)に取り付けるようですが、
機内の緊急脱出用ゴムボートPK-1にも備え付けてあったそうです。

後述する初期型・後期型に比べ、一回り小さい作りとなっています。

ポーチ表面には白地の無い赤十字U.S.NAVY
そしてストックナンバー(S2-1063)がプリントされています。
ポーチ裏面には製造タグが付いており、Conray Products Co.製と分かります。
Conray Products Co.WWⅡ時に医療品を納入していた業者の一つです。

個人的には赤十字マークが渋くて、非常に気に入っております




コチラはポーチ内部と裏面です。

開閉はポーチ底部に着いたドットボタンで行います。

フラップ裏面が二重構造で、紙類などが入りそうなポケットになっています。
また、底には合板製らしき板が入っています。

サバイバルベストへの取り付けは背面のベルトループで行うのですが非常に幅が狭く、
ピストルベルトへの取り付けは不可能です。
つまりこのポーチは完全にサバイバルベスト専用であり、
野戦装備への流用は考えられていないようです。
(現在のサバイバルベスト縫い付けるポーチ的な存在でしょうか?)

このポーチを「最初期型」としておりますが、後述するポーチとの関連性は確証がありません。
個人的な分類ですので、参考程度にとらえて下さい。
一般的には「(海軍)アビエイター用FAポーチ」で通用すると思います。




----------------------------------------

アビエイター用FAポーチ・初期型

     制式名:FIRST AID KIT, AVIATOR, CAMOUFLAGED
     製造国:アメリカ合衆国(KEITH & KEITH INC 製)
     製造年:1966年頃(DSA-120-4228)
     サイズ:12×12×8cm
     カラー:OD
     材質:コットン

ベトナム戦争初期アビエイター用FAポーチです。

海軍(NAVY or USN)との表記はありませんが
AVIATOR」とありますので海軍系アイテムの可能性があります。

運用方法は不明ですが、やはりサバイバルベストへの取り付けていたのでしょうか?

ポーチ表面には米軍医療マークカドゥケウス)、ストックナンバー(FSN)
そして制式名がプリントされています。
カドゥケウスが細長いと言うのが初期型の特徴です。
ポーチ裏面には製造会社(KEITH & KEITH INC)と
コントラクトナンバーがプリントされています。
KEITH & KEITH INCについては詳細不明・・・)




コチラはポーチ内部と裏面です。

開閉はポーチ底部に着いたドットボタンで行います。

開閉口には最初期型にはないサイドのプラップが付いています。
逆にフラップ裏面のポケットと底の合板製らしき板がなくなっています。
底の板がないので、ドットボタンンを留める際、少し不便に感じます。

背面のベルトループは一見最初期型と同じに見えますが、
最初期型横方向にしかベルトを通せないのに対し、
初期型縦横二方向にベルトを通せるようになっています。

スライドキーパーを取り付けて、ちょっと強引に野戦装備に流用することも可能かもしれません。

WWⅡと違いベトナム戦争ではヘリの運用が多く、
ヘリパイロットも使用していた可能性が高いので、
アビエイター用」と言うよりは「エアクルー用」と呼んだ方が良いかもしれません。
一般的には「エアクルー用FAポーチ・初期型」で通用します。




----------------------------------------

アビエイター用FAポーチ・後期型

     制式名:FIRST AID KIT AVIATOR, CAMOUFLAGED
     製造国:アメリカ合衆国(KEITH & KEITH INC 製)
     製造年:1967年頃(DSA 120-67-C-2976)
     サイズ:12×12×7cm
     カラー:OD
     材質:コットン

ベトナム戦争中期アビエイター用FAポーチです。

基本的な情報は上記の初期型と同じです。
表面のプリントの違いはカドゥケウスの形くらいでしょうか?

ストックナンバー(FSN)初期型・後期型ともに「6545-965-2394」と同じ数字なので、
米軍的には同じアイテムと言う認識なのだと思います。

このポーチとは別の製造会社ストックナンバー違いのタイプが存在します。
そいつが一体何者なのか、今現在不明です





コチラはポーチ内部と裏面です。

基本的な情報は上記の初期型と同じです。

初期型との違いは背面のベルトループです。
べロクロ(マジックテープ)式で、縦方向にしかベルトを通せないようになっています。

M1967装備LC-1装備FAポーチの背面にも
同じようなべロクロのベルトループが付いているので、個人的意見ですが、
M1967装備以降、エアクルー用FAポーチを兼ねている可能性がありますね。

一般的には「エアクルー用FAポーチ・後期型」で通用します。


次回からはファーストエイドの内容物をご紹介致します


あなたにおススメの記事
関連記事