今回どうでもいい謎を、
私・名探偵パイルが全力で推理します!
結構長いですが、是非お読み下さい ※非ミリタリー・非アウトドアです
私は頭痛持ちです・・・なので必ず財布の中に
頭痛薬を入れています。
そんな
頭痛薬の語源について調べて見ました
◎
バファリン(LION)…「
Buffer」(緩和物)+「
Aspirin」(アスピリン)の造語
◎
セデス(シオノギ製薬)…「
Sedative」(鎮静させる)から
◎
ノーシン(アラクス)…「脳が新しくなったようになる」(
脳新)から
◎
イブ(エスエス製薬)…「Ibuprofen」(
イブプロフェン)から
◎
ナロン(大正製薬)…「良く
なろう」から
◎
ケロリン(内外製薬)…「
ケロリと治る」から
◎
ハッキリ(小林製薬)…「頭が
ハッキリする」から (元は目薬の商品名だったらしい)
この中で製薬会社が公表している語源は「バファリン」のみで、
その他は情報源が定かではない
非公式なものです。
しかし非公式とは言え、どれも何となくですが納得行くネーミングですね
ただ一つ・・・
「ノーシン」を除いては!!
(本当は「ナロン」もちょっと疑問)
ノーシンの語源には諸説あるようなので、まずはそれらをご紹介致します。
(製造元のアラクスも語源がどれなのか分からないそうです)
【
Wikipedia】 詳しくはコチラ→『
ノーシン - Wikipedia』
・「
脳がしーんとする」から
・「脳が新しくなったようにすっきりする」(
脳新)から
・中国神話の
神農をもじった
【
株式会社アラクス】 詳しくはコチラ→『
ノーシンの事実』(アラクスHP)
・「脳が新しくなったようにスカッと頭痛が治る薬」という意味の「
脳新」説
・脳神経薬である「脳神経の薬」を略した「
脳神」説
・中国の医薬の神様「神農」をひっくりがえした「
農神」説
【
唐沢俊一】 『
薬局通』(唐沢俊一著)より
・脳を鎮める「
脳鎮」説 →
ガセネタであるとして、酷評されています
総合すると以下の4つの説が存在する事になります。(「
脳鎮」説除外)
①「脳がシーン」説
②「脳新」説
③「神農」説
④「脳神経薬」説
これらの説を検証する前に「
ノーシン」と、
製造元「
アラクス(荒川長太郎合名会社)」の簡単な歴史について・・・
※単にWikiの内容を要約しているだけです
1853年(嘉永06年):「
鎰長」(いっちょう)創業
1917年(大正06年):「
荒川長太郎合名会社」に社名変更
1918年(大正07年):「
ノーシン」が製造販売され始める
※不確定情報
1990年(平成02年):同合名会社から独立して新会社「
アラクス」設立
2010年(平成22年):パイル二等兵が「ノーシン」の語源に疑問を持つ
2011年(平成23年):パイル二等兵が「ノーシン」の語源の推理に乗り出す
では早速、各説について個別に検証して行きたいと思います。
①「脳がシーン」説
かなり怪しい説ですね
90年以上前に「
脳がシーンとする」なんて表現をしたとは考え辛い・・・
『社名・商品名検定 キミの名は』(朝日新聞社)によると、
アラクスはこの説を否定したそうです。実際、同社のHPにこの説は書かれてませんね。
かなり浸透している説ですが、
何の情報源も無いですし、証明しようも無いので一応「
ガセネタ」と結論付けときましょう。
②「脳新」説
現在、
主流かつ有力な語源です。アラクスも最有力だと言っています。
Wikiでは情報源として、「脳新」と書かれた1920年代の中国のポスターを挙げています。
・・・が、どうなんでしょうか?
中国で外国語(日本でカタカナ表記される言葉)を漢字表記する際、
言葉の
音(おん)が最優先で、漢字の
意味は後回し(もしくは無視)されている気がします。
「ノーシン」も中国語圏で販売する際、
音を漢字に当てはめて「脳新」(「
ナオシン」と発音するらしい)と命名。
後にそれを見た日本人が「脳が新しくなる」と勝手に解釈した。
・・・と私は考えております。
一応結論を出しますと、
中国語表記が「脳新」だからと言って、それが語源であるとは考え辛い・・・です。
日本で発売された「脳新」表記のノーシンがあれば、この説を証明する証拠となるでしょうが・・・
③「神農」説
何故、
中国の神様なのでしょうか?
もし商品名に神様の名前をつけようとするなら、まず
日本の神様から選ぶのでは?
例えば「
薬師如来」(神様ではないですが)から「
シーヤク」とか・・・
そもそも何故、ひっくり返すのでしょうか? 単純に「
シンノー」で良いのでは?
私個人の感覚からすると、
神様の名前を半分に切って逆さまにするのは、罰当たりの様な気がします。
一応結論を出しますと、
何か微妙・・・何か罰当たり・・・何か後付っぽい・・・です。
「農神」表記のノーシンがあれば、この説を証明する証拠となるでしょうが・・・
④「脳神経薬」説
単純にコレが正解なのではないでしょうか? 何のヒネリも無くて、面白みに欠けますけどね
私はこんな
仮説を立ててみました・・・
「
鎰長」では頭痛薬のみではなく、各種薬剤を取り扱っていた。
当時は独自の商品名を付けておらず、
頭痛薬なら「
脳神経薬」、胃薬なら「
胃腸薬」、目薬なら「
眼科薬」、塗り薬なら「
皮膚薬」
と言う単純明快なモノだった。
この中で「
脳神経薬」はかなりの人気を博し、「
鎰長」の看板商品となった。
そしていつしか、人気者や人気商品が略されて呼ばれるように
「
脳神経薬」も「
脳神」と略されて呼ばれるようになっていた。
「
荒川長太郎合名会社」に社名変更後も「
脳神経薬」は看板商品だった。
荒木長太郎は、「
のーしん」という呼ばれ方が定着した「
脳神経薬」を
いっそのこと「
ノーシン」と言う商品名にしようと決意した。
(略語や愛称が、正式な商品名や社名に採用されることはよくある)
こうして「
ノーシン」は誕生した。
ただし「
胃腸薬」などは、略して呼ばれる程の商品ではなかった為、
その後も同じ「
胃腸薬」と言う名で販売され続けていた。
当時日本の統治下であった台湾で「
ノーシン」を売り出すにあたり、漢字表記が考えられた。
そのまま「
脳神」と表記すると「
ナオシェン」と読んでしまう為、
「
神(シェン)」を「
新(シン)」に変え、「
脳新」とした。
・・・と言うものですが、どうでしょうか?
「脳神経薬」とだけ書かれた頭痛薬、もしくは「脳神」表記のノーシンがあれば、
私の仮説並びに「脳神」説を証明する証拠となるでしょうが・・・残念ながらありません
・・・・・・がしかし!!裏付ける証拠ならあります!!
まずはコチラをご覧下さい
小売用のノーシンが30箱入った大箱です。
※未開封品の為、中は未確認
文字が
右から左に書かれていることから、容易に
戦前の物と判断できます。
(戦前の物でも左から右に書かれている物もあります)
良く見ると、「
満州国」の文字がありますので
1932~1945年の物と断定出来ます。
そしてこのノーシンには
「脳神経薬」説を裏付ける表記が・・・
ご覧下さい!!
画像最上段に
「脳神経専門剤」とあるじゃないですか!!
これはノーシンが
脳神経の薬と言う認識で製造されていた確固たる証拠!!
更に言いますと、「
鎰長」時代の頭痛薬が「
脳神経専門剤」と言う名称だった名残!!
ただ皆さん、こうお思いでしょう?
「脳神経専門剤なんて単純な名前付けねーだろ」・・・と
その思いに答える証拠がコチラ
戦前の
荒川長太郎合名会社製・胃腸薬、その名もズバリ
「胃腸専門薬」!!
(コレが売れていたら「
イチョー」なんて商品名になってたかも)
この胃腸薬が「鎰長」時代からあったかは不明ですが、
少なくともこの会社には商品名に「
~専門剤(薬)」と付ける傾向があると言う証明になります
「脳神経専門剤」と冠された「ノーシン」、
「胃腸専門薬」と言う名の胃腸薬・・・
この二つの存在が、私の仮説を裏付けているのではないでしょうか!?
今後「
脳神経専門剤」とだけ表記された頭痛薬が発見されれば、私の仮説が証明されます。
薬マニアの方々、並びに古い救急箱を押入れに仕舞いっ放しの方々、
是非一度、「
脳神経専門剤」が紛れ込んでいないかお確かめ下さい。
もし発見されたならば、私に御一報を!!
・・・これで「脳神経薬」説が主流になればいいなァ